北海道札幌の薪ストーブ屋ブログ

薪ストーブのある風景~お店探訪録Vol.2~【ANATOMICA SAPPORO】編

ピエール・フルニエ。
かつてセレクトショップの先駆けとなったGLOBEやHEMISPHERESといった伝説のブティックを手がけた氏が1994年、フランス・パリ4区の14 rue du Bourg Tibourgに新たな店舗をオープンさせます。

これがANATOMICA(アナトミカ)の始まりです。
2011年には東京に日本1号店がオープン。
それから2年後の2013年、ここ札幌の地に誕生したのが今回ご紹介するアナトミカ札幌です。
札幌の中心街からやや西側に外れた、決して人通りの多くないその場所を訪れると真っ先に目に飛び込んでくる鮮やかな青色の看板。

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1960年代当時の、セーヌ川に架けられた橋の名を記す看板を再現したというそれに目を奪われつつも店内に入るとそこはまさにパリさながら。
剥き出しになった無機質な躯体と壁面に張られた木板、太い梁や木柱の絶妙なコントラスト。シンプルながらも力強さを感じる什器。空間全体へ丁寧にディスプレイされた洋服たち。

1994年、ANATOMICA Parisをオープンした際にも内装デザインを手がけたバスク出身の建築家ルイス氏がここ札幌でも手腕を振るった内装、それを見るだけでも一見の価値があるでしょう。

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アナトミカで展開される服は大きく分けて2ライン。

一つは伝統的でレトロなヨーロピアンファッション。

もう一つは、氏のビジネスパートナーでありアナトミカ東京も手がける寺本欣児氏との共同デザインであるアメリカンテイスト・ガーメント。

前者は伝統的な作業着や軍服の特徴を忠実に再現するため一見すると敷居の高いクラシカルなデザインなのですが、同ブランドの理念ともいえる人体の構造と動きに沿った"アナトミカル(解剖学的)"な作品に一度袖を通すとその抜群のフィット感に驚かれることでしょう。

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後者は常にヨーロピアンファッションに注力し続けたアナトミカの新たな方向性として寺本氏が提唱。
ジーンズ、スポーツウェア、スニーカー、シャツといったアメリカンカジュアルウェアを日本が誇るモノ作りの担い手たちによって再現されたコレクションです。

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相反する両者のラインナップに共通して言えるのはやはり着用時の美しいシルエット。
特にパンツは入門編としておすすめ。そのどれもが素晴らしく美しいので是非多くの方に体験して頂きたいと思います。

今までフィッティングなんて考えたことも無かった若い世代からフィッティングの何たるかを熟知したご年配の煩さ方まで、幅広い層を魅了するブランドだと思います。

ピエール氏の掲げるフィッティング理念は洋服だけに留まらず足元にまで及びます。
中でも別注のオールデンは非常に人気が高く、店頭に出てもすぐ完売してしまうほど。
その理由は米国ブランノック・デバイス社のフットサイズ計測器「ブランノック・デバイス」を使って顧客の足サイズをしっかりと計測すること、そしてアナトミカ・オールデンの代名詞ともいえる"モディファイドラスト"を使用していることが挙げられます。

アナトミカと聞いて真っ先にオールデンを頭に思い浮かべる人も多いほどアナトミカとモディファイドラスト・オールデンは深い関係にあるのです。

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ラスト、つまりは木型。
オールデン社が整形外科的アプローチから木型の開発・改良を始めてからおよそ10年後の1963年、モディファイドラストは完成します。
ストレートインサイド・アウトカーブとも称されるその独特なフォルムこそが足の自然な形態を邪魔しない最高の形というわけです(サンダルで有名なビルケンシュトックも同じですね)。

以降、同社はモディファイドラストに代表されるハンディキャッパー用のラインに限ってオーソぺディックシューズ(整形靴)の専門店で販売していました。

時を経て1970年代後半、モディファイドラスト特有のフォルムの美しさと実用性の高い履き心地に魅せられ、いち早く着目したのがパリのセレクトショップHEMISPHERESの2人のオーナーであり、そのうちのひとりこそがピエール・フルニエ氏だったのです。

モディファイドラスト・オールデンの特徴はなんといってもその履き心地。
私も所有していますが初めて足を入れた時の衝撃は今でも忘れません。
それまで革靴といえば革が硬くて履きづらく長時間履いていると疲れる、といったネガティブなイメージが強かったのですが、モディファイドラストの靴はそんな私の自分勝手なイメージを軽く吹き飛ばすかの如く足にフィットし、長時間歩いても疲れ知らず。

唯一欠点を挙げるとすると未だ鉄のシャンクを使っているため空港の検査ゲートで必ず引っかかることでしょうか(愛好者あるあるですね)確かに値段は張りますが(それでも高級靴の部類としては安いと思います)一足もっていると重宝します。
ただし一足では終わらないのがオールデンの怖さなのですが・・・

革靴はそんなに履かないという方にお薦めなのがモディファイドラストと同じくストレートインサイド・アウトカーブで作られたアナトミカオリジナルのキャンバス・スニーカーWAKOUWA(ワクワ)

私も今まで様々なスニーカーを履いてきましたが、キャンバス・スニーカーの中ではダントツに抜群の履き心地。勿論オールデン同様ブランノック・デバイスで計測してからサイズを選んでいますのでフィット感も文句なし。

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とにかく全てにおいて一切の妥協を許さないピエール氏。
それは当然薪ストーブにおいても同じでありまして。
JOTUL NO.4。日本では「パイス4」という名称で愛されたヨツール社を代表するストーブ。
ガラス窓も無いシンプルな構造で、一見するとモアイ像のようなその外観は多くの人々を魅了し、今でも熱狂的な愛好家が多い機種のひとつとなっています。これがアナトミカに設置してあるストーブです。

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勿論既に廃盤となっているモデルなのですが、氏がどうしてもこれでなければ駄目だと仰いまして世界中ありとあらゆる伝を頼って探し出したストーブであります。
残念ながらオープン当日には間に合いませんでしたが、その数ヵ月後なんとか設置できたという思い出深い案件です。
ただし燃焼効率は決して良くはありませんのでこっそりと改良を施しております。

なお現在は通常通り店舗営業を行なっておりますが、遠方の方や外出を自粛されている方のために通販やオンライン接客なども行なっておりますのでお気軽にお問い合わせ下さいのとの事。

スタッフ一同お待ちしております。

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【ANATOMICA SAPPORO-アナトミカ札幌】
 住所:北海道札幌市中央区南3条西8丁目第一ビル1F
 営業時間:平日13:00~20:00 土日祝日12:00~20:00
 定休日:不定休
 電話番号:011-219-1231
 E-mail:info@anatomica-sapporo.com
 ウェブサイト:http://anatomica-sapporo.com